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66.被災した住宅用地の固定資産税
 阪神大震災により、住居が全壊しました。新たに建て直そうと
思っておりますが、諸般の事情により再建の目途がたちません。
更地の場合、固定資産税が高くなると聞きましたが、本当でしょ
うか。
 
要旨
 更地の場合は、土地の価格が課税標準となり、軽減措置はありま
せん。しかし、今回の震災特例により、阪神・淡路大震災で被災を
受けた住宅用地については、更地であっても住宅用地として軽減が
受けられます。
 
解説
 現行の固定資産税において、土地のうち住宅用地の課税標準につ
いては、200u以下の住宅用地(小規模住宅用地)については6分
の1の額とし、200u超の住宅用地については、200uまでは6分の
1、200u超の部分については、3分の1の額にすることとされて
います。住宅の無くなった土地については、この特例はありませ
ん。しかし、震災特例法附則第16条の2第1項により、阪神・淡路
大震災により減失し、または損壊した家屋の敷地の用に供されてい
た土地で住宅用地の特例の適用を受けていた土地(被災住宅用地)に
ついては、平成8、9年度の2年間は住宅用地の特例が受けられま
す。
 
(1)特例の対象となる土地の所有者
 @ 被災住宅用地の所有者(被災住宅用地が共有物の場合は、そ
  の持分を有する者)
 A 被災住宅用地の所有者に相続が生じたときの相続人(相続人
  に更に相続が生じたときは、その者の相続人を含みます。)
 B 被災住宅用地の所有者に合併が生じたときの、合併後存続す
  る法人または合併により設立された法人(合併法人に更に合併
  が生じたときは、その合併法人を含みます。)
 C 被災住宅用地の所有者から所有権を取得した3親等内の親族
(2)特例が適用されない場合
  @ 平成8・9年の各1月1日に住宅以外の家屋や構築物が建設
  されている場合
  A  当該土地の所有者が売買等の所有権移転により変わった場合
 (上記A〜Cを除く)
 
留意点
 申告手続きは不要ですが、上記(1)のA〜Cに該当する方は、被災
住宅用地の所在する市・区役所の固定資産税係に申し出てください。
 
課題事項
 阪神・淡路大震災の被害は甚大であり、また広範囲にわたってい
るため、住宅の再建は困難な状況にあります。特に、マンションに
ついては、建替・再建の決議が未だなされていない状況にあります。
特例措置の延長が望まれます。
 
67.代替家屋を取得した場合の固定資産税
 阪神・淡路大震災により、自宅が全壊し、父が死亡しました。
長男の私がその土地の上に住宅を新築しようと思いますが、固
定資産税は、どのようになりますか。
 
要旨
 阪神・淡路大震災により滅失または損壊した家屋の所有者が、被
災家屋を処分し、それに代わる家屋を平成7年1月17日から平成
10年1月1日までの間に新築・取得した場合、被災家屋の床面積に
相当する部分に係る税額が3年度にわたり2分の1になります。
 
解説
(1)一般の新築住宅に対する固定資産税の減額
  昭和38年1月2日から平成10年3月31日までの間に新築された
 住宅で下記の要件に該当するものに対する固定資産税は、その住
 宅に対して新たに固定資産税が課されることになった年度から3
 年度にわたり、税額が2分の1に減額されます。
  また、昭和39年1月2日から平成10年3月31日までの間に新築
 された中高層耐火建物で下記の要件に該当するものに対する固定
 資産税は、その住宅に対して新たに固定資産税が課されることと
 なった年度から5年度にわたり、税額が2分の1に減額されます。
 @ 床面積要件
   居住部分の床面積が40u(一戸建以外の貸家住宅は35u)以
  上200u以下であること。併用住宅については、居住部分の割
  合が2分の1以上であること。
 A 価格要件
   1u当りの価格が11万2千円(耐火構造は17万6千円、簡易
  耐火構造は14万4千円)以下であること。
 B 減額される範囲
   居住部分の床面積が120uまでのものはその全部が減額対象
  に、120uを超えるものは120uに相当する部分が減額対象にな
  ります。なお、平成5年1月1日以前に新築した家屋の減額対
  象は100uまでになっています。
(2)被災家屋の代替家屋の特例
  阪神・淡路大震災により減失し、または損壊した家屋(被災家
  屋)の所有者等が、平成7年1月17日から平成10年1月1日まで
  の間に、被災家屋に代わるものと市町村長が認める家屋を取得
  し、または被災家屋を改築した場合の固定資産税については、新
  たな課税年度から3年間家屋の固定資産税額(上記の新築住宅の
  減額の適用後の税額)のうち、この特例の規定の適用を受ける部
  分に係る税額として政令で定めるところにより算定した税額の2
  分の1の税額が減額されます。(震災特例法附則16条の2第13項)
 
特例の対象となる代替家屋の所有者とは次の者をいいます。
@ 被災家屋の所有者(被災住宅用地が共有物の場合は、その持
 分を有する者。)
A 被災家屋の所有者に相続が生じたときの相続人(相続人に更
 に相続が生じたときは、その者の相続人を含みます。)
B 被災家屋の所有者に合併が生じたときの、合併後存続する法
  人または合併により設立された法人(合併法人に更に合併が生
  じたときは、その合併法人を含みます。)
C 被災家屋の所有者から所有権を取得した3親等内の親族。
 
留意点
 代替家屋取得の地域指定はありません。日本国内であれば、この
特例の適用はあります。
 被災家屋の所有者以外の者が、代替家屋を建築される場合は、上
記特例の対象者に該当するか否か、確認してください。
 
課題事項
前事例と同様に特例措置の延長が望まれます。
 
68.不動産取得税の減免措置
 今回の震災により所有する不動産に被害を受けましたが、不動
産取得税についての免税措置があると聞きましたのでその内容を
教えてください。
 
解説
(1)制度の慨要
 @ 不動産を取得した直後に被災した場合
   取得した不動産が不動産取得税の納期限までに震災によって
  減失または損壊した場合は、滅失または損壊した不動産の価格
  (固定資産税評価額)にその被害程度に応じた減免割合を乗じ
  た額に税率を乗じて得た額の減免を受けることができます。
 A 被災した不動産に代わる不動産を取得した場合
   震災により滅失または損壊した不動産に代わる不動産を3年
  以内に取得した場合は、滅失または損壊した不動産の価格(固
  定資産税評価額)に、その被害程度に応じた減免割合を乗じて
  得た額に、税率を乗じて得た額の減免を受けることができます。
(2)減免割合
【家屋】
 (災害の程度)               (減免割合)
 全壊または復旧不能 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥100%
  10分の6以上の価値を減じたとき‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥80%
  10分の4以上10分の6未満の価値を減じたとき ‥‥‥‥‥‥60%
【土地】
 (災害の程度)               (減免割合)
 被災面積または被災価格が当該土地の面積
 または価格の
  10分の7以上‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥100%
  10分の5以上10分の7未満‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 80%
  10分の3以上10分の5未満 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥60%
(3)申告期限等
  納期限までに減免申告書を提出しなければなりません。
 
留意点
(1)取得直後に被災した不動産そのものが不動産取得税の納期限ま
  でに被災した場合であり納期限後に被災した場合は該当しません。
(2)震災により滅失または損壊した不動産に代わる不動産を取得し
  た場合とは、被災不動産の所有者が同一用途の不動産を取得した
  場合をいうものであって、所有者が異なるとか、住居が被災して
  店舗を取得した等の場合は該当しません。
(3)所得のない人が所有していた家屋が被災したが、返済能力等で
  融資を受けることができず、他の資金の調達の出来る人が取得し
  たような場合は、従前の所有者と異なることとなり減免を受ける
  ことはできません。ただしその人の推定相続人で震災当日同居し
  ており、また建物取得後も同居する者が取得した場合には申請に
  より減免が適用されます。
(4)不動産の価格(固定資産税評価額)とは平成7年度は固定資産
  税評価額の3分の2の金額、平成8年度については同価額の2分
  の1の金額をいいます。
 
課題事項
(1)土地について被災した場合の災害の程度による減免割合は上記
  の通りですが、土地の被害の内容が具体的に示されていないので
  適用の範囲が不明です。
(2)この措置は前述の通り被災後3年内に限られていますので、そ
  れぞれの個人の事情、また都市計画等によりその期間中に代替資
  産を取得することが困難な場合も十分考えられます。今後この措
  置の期限を延長することが望まれます。
 
69.登録免許税の特例
 神戸市内で半壊となった居住用建物を取り壊さずに、その敷地
とともに譲渡し、その資金で同一区内に土地建物を取得したいと
考えています。
 この場合の所有権の保存、または移転登記に保る登録免許税の
免税の適用はありますか。
 
要旨
 震災によりその所有する建物に被害を受けた者で、当該建物の所
在地の市町村長から証明を受けた者が、その建物に代わるものとし
て新築又は取得した建物の所有権の保存、または移転の登記を平成
12年3月31日までの間に行う場合は、登録免許税を課さないことと
されています。
 
解説
 震災特例法第37条では震災により滅失または損壊したため取り壊
した建物に代わるものとして、新築または取得した建物で政令で定
めるものの所有権の保存または移転については、登録免許税を課さ
ないとしているので、本事例の被災建物を取り壊さない場合につい
ては該当しないこととなります。しかし震災特例法に関する政令第
29条第3項のただし書きにより阪神・淡路大震災に際し、災害救助
法が適用された市町村の区域内に所在する建物についてはこの限り
ではないとされていますので、新しく取得する建物についての登録
免許税は免税とされます。
 
留意点
(1)災害救助法適用区域(15市10町)内に所在する建物と地域外に
 所在する建物とは適用内容が異なるので注意が必要です。
(2)免税手続き
 ●登記の申請書に「建物被災証明書」(建物の所在地の市町村長
  が発行)を添付する。
 ●相続人の場合は戸籍謄本が必要です。
(3)抵当権の設定の登記の免税
  所有権の保存登記等の免税の特例適用を受ける建物の新築また
 は取得資金の借入を受けるため、抵当権の設定の登記にかかる登
 録免許税については、当該建物の所有権の保存または移転の登記
 と同時に受けるものに限り、登録免許税が免税とされます。
 
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